書籍レビュー:なぜ英語が話せる人はいつも必ず間違ったアドバイスをするのか!?
『なぜ英語が話せる人はいつも必ず間違ったアドバイスをするのか!?』は、「英語が話せる人による善意のアドバイスが日本人の英会話修得を妨げていた」というコンセプトのもと、日本人が最小限の努力であっという間に英語を克服できるように編み出された英会話マニュアルです。
中学2年までの英語と「置き換えテクニック」さえ身に着ければ、誰でもすぐに英語を話せるようになるという、まさに夢のような真実がつづられています。
試験は良い点がとれるのにスピーキングは苦手な人、聞き流し・音読・シャドーイング・ディクテーションを散々やってきたのにほとんど効果が感じられなかった人、英会話スクールに通ったりオンライン英会話をやったりしているのになかなか上達しない人、そんな英語のお悩みを持つ全ての学習者にとって、本書は待ちに待った朗報です。
Chapter1「巷の適当なアドバイスのせいであなたは英語が話せないのです!」では、英語が話せる人がつい口にしがちなアドバイスが紹介されていますが、おそらく、これを読んでいるあなたもどこかで耳にしたことがあるセリフが含まれているのではないでしょうか。
【英語話者による誤ったアドバイスの例】
- 巷の英語が話せる人
「英語で話すのが一番の近道だよ。じゃあ、今日から私と一緒に英語で話そうよ!」 - 巷の英会話スクール
「英語で考える癖をつけましょう。英語のまま考えて、英語でそのまま話しましょう!」 - 巷の学校の先生
「英文を丸暗記して、シャドーイングすれば話せるようになる!」 - 就職活動時における巷の教務課や学校の先輩
「TOEICさえあれば大丈夫!」 - 巷の英語が話せない人たち(知人・家族)
「あそこの英会話スクールがいいらしいよ!」
Chapter2「言えることを10倍に増やす! 魔法の置き換えテクニック」では、日本語から英語への変換プロセスが具体例とともに詳しく解説されています。
【日本語を英語に置き換えるステップ】
- 伝えたい日本語を、シンプルな伝えやすい日本語に置き換える。
- シンプルにした日本語の文を、知っている英語を使って表現する。
【難しい日本語⇒シンプルな日本語への置き換え】
- 日本語特有の言葉を、「一般的な動作や状態」で説明する。
- 抽象的な表現や擬音語・擬態語などを「具体的な行動や状態」で表現する。
- 主語と目的語を入れ替えるなど、自分が英語にしやすい順序に組み替える。
【置き換えトレーニング例】
早くその映画を見たくてうずうずしている。
⇒私はその映画を見ることを待ちきれない(待てない)。
⇒I can’t wait to watch that movie.
⇒I want to watch that movie very much. I’m excited!
Chapter3「日常英会話は中2までの文法と1,320語あればOK!3,000語あればベター!」では、日常会話のほとんどが中学2年までの英文法・語彙で言えてしまうことの根拠や、中学3年で習う完了形や関係代名詞の表現を別のシンプルな文法で置き換えるテクニックについて書かれています。
また、基礎単語520語とカタカナ単語800語の計1,320単語に加えて、役割別フレーズリストが添えられているなど、至れり尽くせりの仕様になっています。
Chapter4「日本語置き換え! トレーニング」、Chapter5「中2英文法・語彙をパッと口から!日⇒英トレーニング」、Final Chapter「日⇒英&置き換えコンビネーショントレーニング」は実践演習の場です。
これらのトレーニングを積むことによって、凝り固まった頭が次第に柔らかくなって、発想が豊かになること請け合いです。
もしかしたら、英会話上達の一番の近道は、「英語が話せない」という思い込みや脳裏にこびりついた固定概念から自分自身を解き放つことなのかもしれません。
本書においても、例題の答えが唯一の解答というわけではなく、人それぞれ答えは違います。
しかし、私たちは学校の英語教育でずっと正解を求められ続けてきたので、英会話の時も、試験と同様に唯一の正解を無意識のうちに追い求めてしまう傾向があります。
答えは無数にあるのに、伝えたい日本語を完璧に直訳できないと「英語が話せない」と思い込み、そのまま間違った勉強法を続けるはめになって、ますます自信が持てなくなるという悪循環に陥ります。
従って、何よりも先にその誤った思い込みを完全に捨て去らない限り、どんなに文法や単語を覚えても、堂々と英語を話せるようにはなりません。
『なぜ英語が話せる人はいつも必ず間違ったアドバイスをするのか!?』は、英会話の発想を根幹から変えることによって、これまで自分の頭の中で眠っていた英語を一気に使える英語にパワーアップさせてくれる強力な1冊です。
ビジネスも勉強も時間が勝負、即決・即断・即実行がカギです。
英語への劣等感から一刻も早く解き放たれたいあなた、本書を手にした1時間後には、きっと目前の霧が晴れて行くように、解放感にあふれた清々しい気持ちになっていることでしょう。