書籍レビュー:ほめ英語入門|松田 佳奈 / デイビッド・ヒルストン
ほめ言葉には人をポジティブに動かす力があります。
ほめられた人は、嬉しくてもっとがんばろうって前向きな気持ちになったり、ほめたほうも相手が喜んだり、照れたりする姿をみて笑顔になってしまったり。
そう、ほめるって人とのコミュニケーションを円滑にするための大事なソース。ほめることから始まる英会話は楽しくなるに違いありませんよね。
ダメなことを指摘するばかりの会話より、いいところを見てほめる会話のほうが弾むに決まっています。
この本は、そんな「ほめる」にとことんこだわってまとめられた、ありそうでなかった英語本。筆者の松田佳奈さんの経験を活かし書かれた「ほめ英語入門」は、ほめることを通じて、積極的に話しかけていく勇気をくれる言葉が随所にちりばめられています。
とにかく人のいいところをみつけて言葉にしていく、明るくて前向きな会話は、「少しくらい間違っていてもいいから、言ってみよう!」というマインドに変わっていきます。
日々の生活の中で人をほめるチャンスはたくさん。消極的になりがちな会話の第一歩、この本を読むことで、ほめることをきっかけに自分から踏み出してみよう、という勇気がわいてきますよ。
>英語が上達する1日3分の無料メール講座<
ほめる文化
シャイな日本人は、あまりほめるのもほめられるのも得意とはいえません。
お世辞と思われたり、謙遜されてしまったり…それでもほめられて嫌な気分になるという人はほとんどいませんよね。
英語圏の人は、身近な人でも知らない人にでも、なにかその人の「いいね」を見つけると、積極的に口に出してほめます。これって素敵な習慣。
筆者は、英語をマスターするには、この「ほめ文化」に飛び込むことが大切だと書いています。
確かに、上手に話せることよりも、いいところを見つけて褒めることが英語でできるって、すごく素敵なことですよね。そこから会話も広がり、より深いコミュニケーションをしたいという次への原動力にもつながります。
会話の切り口にもなる素敵なほめ言葉たちを学んでいると、もっともっと学びたくなりほめ上手になりたいなという気持ちになってきます。
本書の構成
構成はいたってシンプルに4章のみ。
Chapter1:「ほめポイント」整理
Chapter2:「ほめ構文」整理
Chapter3:「ほめ単語」整理
Chapter4:「ほめ例文」リスト
筆者が一貫して伝えたいことは、ほめながらコミュニケーションするのが一番なんだという意気込みが伝わってきますよね。
これだけ余計なものをそぎ落とされていると、絶対、英語のほめ上手になってやる!なれるはず!とこちらの決意も固まります。中身を詳しく紹介していきましょう。
Chapter1:「ほめポイント」整理
この章では、12のほめポイントに分けて「ほめ英語」の効果や注意点を解説していきます。
服装や外見、人柄や能力、行動や存在自体など、人をほめるポイントってたくさん!
会話が弾むほめ方や魅力を引き出すほめ方、セクハラや外見差別になってしまわないための注意など、日本語で読むだけでも勉強になることが満載。日本人にはちょっと照れくさくなってしまうような大げさなほめ言葉も、英語でならしっくりくるので素直に言えてしまうのが不思議です。
まずはここでほめポイントを押さえて、しっかりほめ体質を作り次へ進みます。
Chapter2:「ほめ構文」整理
ここでは、基本になる10のほめ構文を紹介。中学生レベルのわかりやすい基本の構文に、語句を入れ替えるだけで何百通りにでもほめパターンができてしまいます。
わかりやすい!
ほめたい相手を想像しながら、いろいろな語句を変えて練習しているうちに、基礎の語順や自然な表現が感覚で身についてきます。ほめるという前向きな行動が、気分までポジティブにしてくれるので、すでに、本を読む、勉強している、というよりも、楽しくて覚えたいからみてる、という気持ちになります。
しっかり「ほめ型」を身につけてから次の章へ。
Chapter3:「ほめ単語」整理
ここは、ほめるボキャブラリーを増やすための章。万能なほめ言葉や、相手の心に響く選りすぐりの言葉たちを紹介しています。
厳選されたほめ言葉はどれもポジティブで早速使ってみたくなる言葉ばかり。ほめる気持ちを的確に伝えるようになれたら、相手との距離がぐっと近くなること間違いなしですよね。
筆者の佳奈さんと、旦那様であり監修のデイビッドさんが、実際に単語を使う時に気をつけたほうがいいポイントなどのプチお役立ち情報があるのでしっかりと理解をしながら読み進めます。
Chapter4:「ほめ例文」リスト
ここは実践的なほめ例文を定着させるための章。
Chapter1〜3で学んできたポイントや単語、構文を応用した例文を使って総まとめをしていきます。ほめマスターになるまでもう一歩!
ここでは、見た目をほめる、人柄をほめるなど、5つのカテゴリに分けた例文紹介と、さらにそこから細かなシチュエーションが設定されていて、実際の会話シーンをよりイメージしやすいように構成されています。
実践で使えるように、音声を聞きながら繰り返し練習をすることが大切。本の最初からをしっかりと積み重ねてきていれば、ここでの例文を使った学習はスルスルと頭に定着していきますよ。気がつけば、たくさんのほめ言葉が言えるようになり、応用もできるようになっています。
まとめ
読んだ後、こんなにも誰かにすぐに覚えた言葉を使いたい、と思ったことはありません。
ほめる、という行為は受け身ではできず、自分からのみできること。
この「ほめ英語入門」で学習したことは、使うチャンスを待っているだけでは一生使えません。自分から使っていくしかないんです。これは相手のいいところ探しにもつながるという、なんともポジティブな勉強方法。
あとがきに、完璧を目指さずに使ってください、という筆者の言葉がありました。まずはどんどん覚えた言葉をアウトプットしてみてください。
お互いが笑顔になれる「ほめ英語」、ほめるという行為を使って、うまく言えなくてもいいから相手のために、まずは伝えてみようよ、と大きく背中を押してくれる1冊です。