書籍レビュー:ネイティブはこう使う!マンガでわかる冠詞 [ネイティブはこう使う!]
英語が苦手で「冠詞って何?」という人でも、英語のaやtheといわれれば何となくどのようなものなのかをイメージすることができますよね。
例えば以下のようなものです。
paper=紙
a paper=一枚の紙
the paper=(特定の)紙
aなのかtheなのか、そもそも冠詞が付くか否かで英語では、大きく意味が変化します。
英語や西ヨーロッパの言語、アラビア語なんかでは当然の感覚ですが、日本語には存在しない表現のため、冠詞の使い分けに苦手意識を抱く日本人が多くいるのが現実です。
本書(ネイティブはこう使う!マンガでわかる冠詞 [ネイティブはこう使う!])の前書きにも
「不定冠詞/定冠詞/無冠詞 たった3種類しかない冠詞をめぐって、ネイテイブでさえ頭を悩ませる事がある。どの冠詞を選ぶか意見が一致しない事さえある」
と記載されています。
そもそも「物」「名詞」について、数えられる・目で見えない・沢山ある中のたったひとつか、なんていちいち拘らずに生きている日本人からすると、英語で発言する際には冠詞がつい抜けちゃう、なんてよくありがちなことです。
では、具体例を挙げてみましょう。
I go to school.
=私は(勉強をしに)学校へ行きます。
なのか
I go to the school.
=私は学校(という場所)へ行きます。
日本語の口語体では同じ形ですが、英語では口語体でもはっきりと区別させますよね。
本書は ネイティブスピーカーが漠然と抱いてる冠詞それぞれのイメージを、二頭身キャラクター達のイラストで直感的に覚えちゃおう!という趣旨です。
受験用にざっくりパターンを暗記していた人でも、図解で復習することでダイレクトにイメージを思い起こしやすくなります。
ちょっとお人好しなサラリーマン・翔太と妹の葵、ホームステイ中のアメリカ人マイケルを中心に、キャッチーで見やすい1ページ漫画と共にそれぞれ解説が始まります。
冠詞のあるなしで差異がうまれる具体例を、ビジュアルでざっくり紹介するのが2ページ目。
This is a Toyoda.
=これはトヨダ製品です。
This is Toyoda.
=ここは豊田市です。
3ページ目では類似の慣用句の例をあげ、さらに理解度を深めます。
最後の4ページ目では
例文を直訳→
英語圏での共通した認識を紹介→
ネイティブ特有の意味合いを順に紹介、おさらい
というように、全ての慣用句がこの4段階で解説されます。
基本的に、どのページにも英文を2、3列ほどしか載せておらず、読みやすさ・図面の記憶しやすさを重視した構成だということがわかります。
すべてこのリズムなので、隙間時間にでもちょこちょこ読みすすめることができます。
細切れに読んでも学習のモチベーションが崩れません。
行きと帰りの電車で1項目ずつ覚えよう、というようにまとまった学習時間を確保しづらい社会人にはとくに心強い英語本です。
先述のto schoolの様に冠詞が付かない無冠詞や、さらに発展してsomeとany、eachとeveryなど微妙にニュアンスが異なる限定詞まで、シンプルで頻出する慣用句をばっちり抑えています。
本書は、ネイティブが感覚的に抱く違和感を、日本人向けに解説する内容のため、主に日常で使う英単語が登場します。
全てに和訳がついているので単語の意味も学ぶことができます。
本書と同シリーズ「ネイティブはこう使う!マンガでわかる前置詞」(2013年4月発行)も、翔太の家にマイケルがホームステイする日々を通して前置詞を解説しています。
4段階ずつのリズムで理解を深めるのも本書と同じ進め方。
巻末の、ネイティブがしばしば使うビジネス用語集が意外に便利でおすすめです。
ほぼ毎月ペースで出版される同氏の、著作の人気上位を占めているのがこの「ネイティブはこう使う」シリーズ。
動詞や仮定法の図解本も好評とのことなので、他のシリーズも読みたくなります。