書籍レビュー:ネイティブはこう使う!マンガでわかる前置詞 [ネイティブはこう使う!]
『ネイティブはこう使う!マンガでわかる前置詞』は、英語学習において悩みの種である前置詞について、ストレスをためずに短期間で楽しくマスターできるガイドブックです。
マンガの登場人物はマイケル、翔太、葵の3人で、彼らの日常的なエピソードが各レッスンの導入部分になっており、分かりやすいイラストやイメージ図と共に、似ている前置詞や間違えやすい前置詞を2つずつセットで無理なく学ぶことができるように工夫されています。
【登場人物一覧】
マイケル:翔太と葵の家にホームステイするアメリカ人青年。通称マイク。日本が大好きな忍者マニア。
翔太:英語を勉強中のサラリーマン。実は、英語はちょっぴり苦手。
葵:翔太の妹。英語が得意な大学生。アメリカ留学を目指している。
本のタイトルには「マンガでわかる」とうたわれていますが、実際のところ、マンガは各レッスンの最初の1ページのみなので、内容がゆるすぎるということもなく、初級者から上級者まで、あらゆるレベルの英語学習者の知的好奇心を満たしてくれる構成になっています。
日本語の会話と同様、英語の会話でも難しい単語を使ったり複雑な言い回しをしたりする必要はなく、自分が言いたいことを相手に分かりやすく簡潔に述べることが一番大切です。
自分の思いを伝えるのに「上級」も「中級」もないので、短いフレーズを組み合わせてシンプルに発言することさえできれば、何も臆することなくコミュニケーションを円滑に進めることができます。
そして、その時に大活躍してくれるのがほかならぬ前置詞です。
しかし、日本語の助詞「てにをは」の文法的説明が非常に難しいのと同様に、前置詞の使い方をひとつずつ覚えようとすると、さまざまな用法が出てきて途方に暮れてしまいます。
また、前置詞に関する類書はたくさん出ていますが、専門的すぎて途中で挫折してしまったり、コアイメージの解説が中心で物足りなかったり、どれも一長一短な場合が少なくありません。
その点、本書は前置詞のトリビア本としてさくさく読み進めることができ、勉強をしているという感覚もなく、短時間で前置詞の使い方をマスターできる優れものです。
たとえば、「from~to」と「from~through」の違いはどうでしょうか。
- from Monday to Friday
- from Monday through Friday
どちらも日本語に訳すと「月曜日から金曜日まで」になりますが、英語では微妙なニュアンスの違いがあります。
toは「~に向かう」というイメージなので、起点の月曜日から目的地の金曜日まで向かうことを示しており、到達点が金曜日の入口なのか、金曜日の中を通って出口(日付が変わる頃まで)なのかはあいまいです。
これに対して、throughは「ある空間の中を通り抜ける」というイメージなので、金曜日という空間を通り抜けて出口まで進む、つまり金曜日を完全に含みます。
科学・ビジネス分野で正確を期のであれば、throughを使っておけば間違いがないというわけです。
次に、「on the train」と「in the train」の違いはどうでしょうか。
onは「あるものに乗っている・接触している」というイメージなので、「on the train」は電車に足をつけて立っている・座っているイメージを表します。
一般的に、公共交通機関にはonが使われます。
これに対して、「in the train」は、傘などを置き忘れた場合に、入れ物に入っているイメージとしてinが使われます。
また、自家用車などの小さな乗り物には、中に乗り込んでいくイメージのinを使います。
このように、Part1では時間、Part2では場所について前置詞の使い分けを学ぶことができ、Part3とPart4では、動詞と前置詞を組み合わせたさまざまな表現を覚えることができます。
また、各レッスンの終わりに添えられている「Quiz(クイズ)」も、さらに理解を深めるのに役立つので必見です。
前置詞の穴埋めテストで苦労した人も、前置詞の微妙なニュアンスの違いを知りたい人も、ひとたび本書をめくれば、その即効性を実感できるでしょう。
通勤・通学のお供に、午後の読書の時間に最適な1冊です。