書籍レビュー:基本の78パターンで 英会話フレーズ800
『基本の78パターンで 英会話フレーズ800』は、英会話に不可欠なフレーズパターンを身に着けることによって、英語の瞬発力を鍛えるトレーニングブックです。
最小限の努力で最大限の効果をあげる構成になっているので、何をどこから始めたらよいか分からない人も、これまでずっと挫折し続けている人も、何をしても飽きっぽい人も、必ずこの特効薬の効き目を実感できるでしょう。
英会話テキストの多くは「空港」「税関」「ホテル」など場面別になっており、それはそれで大いに役立つのですが、自分が使わない表現もまとめて暗記する必要があるため、途中でうんざりしてしまうことも少なくありません。
本書の特徴は、フレーズパターンごとに例文が並んでおり、冒頭部分さえマスターすれば、あとは自由に英文をアレンジできるという点です。
例えば、Chapter 1の「まずは話の糸口をつかむ 会話のきっかけ17パターン」を見てみると、下記のようなフレーズパターンが並んでいます。
項目ごとに例文がたくさん添えられていますが、冒頭は全て同じ語句から始まるので、セリフの出だしさえ覚えられれば大丈夫。
あとは、この短いテンプレートの後ろに、自分が知っている単語をちょっと付け加えるだけで、たちまち使える英語になります。
Could you~?
~していただけますか?
Thank you for~.
~をありがとう
Excuse me.
すみません
What’s up?
最近どう?何かあったの?
What’s wrong?
何かあったの?
You look~.
~のようだね
How was~?
~はどうだった?
How’s~going?
~はどうなってる?
How did you~?
どうやって~したの?
I’m glad to~.
~してうれしいです
Have you~?
~したことがありますか?
be interested in~.
~に興味があります
What a~!
なんという~!
How can~?
どうすれば~できるのか?~できるはずがない
How come~?
どうして~なの?
That’s because~.
それは~だからです
That’s why~.
だから~ってわけ
数字の羅列も電話番号ならすぐに暗記できるのと同様、英語もこのテンプレートなら一瞬で覚えられます。
このように短いフレーズだからこそ、いざという時に口からポンと出てくるのであって、いくら複雑な例文をたくさん覚えても、瞬発力がなければ意味がありません。
会話で大事なのは、「相手に質問すること」と「思っていることを伝える」の2点です。
このポイントさえ押さえておけば、簡単なフレーズでどんどん話が広がっていきます。
Helloの先にある一言が出て来なくてヤキモキしないように、今すぐフレーズパターンを覚えてしまいましょう。
各章に添えられたコラム「使える動詞型①care②work③meet④pass⑤call」は、多義語の慣用表現が列挙されているので、表現の幅を広げるのに大変役立ちます。
また、「ネイティブ式助動詞の使い方 どっちを使う?」コーナーでは、助動詞の細かいニュアンスの違いと使い分けが詳しく説明されており、実際の会話でも重宝することでしょう。
【ネイティブ式助動詞の使い方 どっちを使う?】
①willとbe going to
I’ll「これからするつもり」
⇒現在の意志であり、前もって決めていたわけではない。
I’m going to「現在すでにするつもり」
⇒現時点で既に決まっている、前もって計画している。
②couldとwas able to
I could「過去の可能性」
⇒可能性があったが、実際に行ったかどうかは定かではない。
I was able to「過去の能力」
⇒実際に「できた」という意味。
③shouldとhad better
You should
相手にある行動を勧める、またはするように助言する
You’d better
強い忠告として、またはしないと困る場合に使う
【英語と日本語の発想の違い】
pull one’s leg
×足を引っ張る
〇からかう、だます
wash one’s hands of~.
×~から手を洗う
〇~から足を洗う
【その英語、ちょっとへんです!】
Nice to meet you.
初対面の相手にしか使えない。
Nice to see you again.
二度目以降に会う時に使う。
Can you speak Japanese?
canは「能力」を表す言葉なので、失礼な言い方になる。
Do you speak Japanese?
相手の「能力」ではなく「習慣」があるかどうかを尋ねる表現になるので、より適切な表現である。
日本語を短期間で上達させた外国人に勉強法を聞いてみると、「まずは基本的なフレーズパターンを覚えて、それを使って色々言ってみた」と答える人が少なくありません。
ならば、この方法を英語学習に利用しない手はありません。
細かい文法や表現は後々ゆっくりやればいいのであって、とにかく英会話を何とかしたいなら、真っ先に必要最低限の「出だしフレーズ」を暗記してしまうことです。
英会話が上達するコツは、完璧主義や正解至上主義をきれいさっぱり捨て去って、たとえ不完全でも、シンプルなコミュニケーションツールを即実践してみようという柔軟性を持つことです。
ぜひこの機会に『基本の78パターンで 英会話フレーズ800』でカチコチに凝り固まった頭を柔らかくして、英会話に対する心の壁を取り払ってみませんか。