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書籍レビュー:出世する人の英語 アメリカ人の論理と思考習慣 (幻冬舎新書)

『出世する人の英語~アメリカ人の論理と思考習慣』は、英語力があるにもかかわらず、外資系企業で上司や同僚とのコミュニケーションに苦労していたり、実力が発揮できずに悩んだりしている人のための応援ブックです。

従来のビジネス英語本とは異なり、アメリカ人特有の論理や思考、自分の意見を的確に伝える方法やタイミングを理解することに焦点を当てています。

たとえ流暢な英語を操れなくても、組織の中で一目置かれる存在になるにはどうしたらよいのか、その秘密が解き明かされます。

本書の優れているところは、英語そのものではなく、日米の文化的な違いに着目している点です。

「アメリカ人は“発言すること=貢献”だと思っている」

「アメリカ人には“言わなくてもわかるだろう”は通用しない」

など、文化的側面から気をつけるべきポイントが具体的に書かれています。

日本人が国際ビジネスの現場で苦戦するのは、多くの場合、英語そのものが原因なのではありません。

異なる文化的背景を持つ人々と円滑にコミュニケーションをとるには、相手の論理的思考や特徴を知ることが先決なのです。

日本人同士では「なんとなく」「なぁなぁ」で済まされていることも、外国人には全く通用しません。

日本人の奥ゆかしさゆえの「その場しのぎ」や「遠慮」も、のちのち誤解を招く要因になります。

英語は単なるコミュニケーションツールにしかすぎないのに、ツールを磨くことばかりにこだわりすぎて、その本質的な使い方やタイミングを訓練することがおろそかになりがちです。

まずはこの点を理解していなければ、いくらビジネス英語を覚えても宝の持ち腐れになってしまいます。

もちろん、本書には英語の学習法についての具体的なアドバイスもたくさん書かれており、巻末付録の「ビジネスシーンで頻出!日本人が意外に知らない&わからない表現50選」には、お役立ちフレーズが例文と共に解説されています。

【例】

on the same page
共通認識で

brownie points
点数稼ぎ・エクストラポイント

wake-up call
警告

sit down and talk
落ち着いてゆっくり話す

up in the air
決まっていない

ballpark figure
概算数値

bottom line
結論

never fly
うまくいかない

on board
一緒に仕事をして、同意して

【使える英語を学ぶコツとは?】

① 英語がペラペラになるという幻想を捨てる。

② 英語を「基礎から」「TOEICから」勉強しないこと。

③ 英語学習の優先順位をつける:英語を使う「場面」を考えることが最短マスターへの道。

④ 4つのステップで身につけるべき英語を明確にする。
  目標設定⇒現状把握⇒具体的に話したいことは?⇒必要なフレーズは?

⑤ ビジネス英語は「応用範囲」が広い:
  量にこだわらず、確実に使うフレーズを覚える。

⑥ デキる上司や外国人を「真似る」:
  使える表現をすぐにメモして覚える。
  自分のビジネス分野の共通言語や社内用語をまず先に覚える。

⑦ 英語は「生涯かけて学び続けるもの」と気楽に構える。

⑧ 基本の文法は身につける:
  中学英文法の薄いドリル形式のものを1冊仕上げる。

⑨ オンライン英会話を漠然と利用しても意味はない:
  必ずシチュエーションを設定してトレーニングしてもらうこと。

⑩ 語彙力アップに役立つ「身近な音読の教材」とは?:
  自分の勤める企業のアニュアルレポート+同業他社のアニュアルレポート
  ※『Newsweek』や『Time』は失敗のもと。

⑪ リスニングは1つの教材を聞き倒す。

外資系企業にいてコミュニケーションがうまく行かないと感じている人、仕事で外国人の上司・部下・同僚・顧客と英語で話す必要のある人、一生懸命英語を勉強してきたものの、バイリンガルが流暢に英語を話すのを見て「やっぱりバイリンガルにはかなわない」と自己嫌悪に陥っている人、本書はそんな悩める学習者のために書かれた本です。

著者は「日本人はもっともっと世界で活躍できる」と力強く励ましてくれています。

ビジネスパーソンに求められているのは「英語力」ではなく「よい仕事をすること」です。

すなわち、一番大切なのは「ネイティブ並みの英語」ではなくて「相手に伝わる話し方」と「話の中身」なのです。

『出世する人の英語~アメリカ人の論理と思考習慣』を読み終わるころには、英語に対するコンプレックスがきれいさっぱり洗い流されて、きっと自分に自信が持てるようになっているはずです。







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