「先輩!」って英語で何て言う?呼び捨ての方が喜ばれるアメリカ
今回のテーマは、先輩です。
学校の先輩、職場の先輩などなど。日本人は何かと先輩という単語を多用しますが、アメリカやイタリアなど英語を話す社会では先輩という直接的な言い回しは存在しません。
ただし、近い呼び方はあります。
今回は、どのように表現するのかについて、文化的背景から最近のネットスラングまで、さまざまな面から先輩について紹介します。
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英語に先輩の表現はない
まずは先輩の定義から、広辞苑で検索すると次のようになっています。
先に生まれ、または学芸・地位などで先に進む人。また、同じ学校・勤務先などで先に入った人。
年上のグループ全体を指して諸先輩方などと表現することもありますが、日本では主に学校や職場の、自分より学年が上・入社が先の人に対して先輩という言葉を使います。
一方英語では、先輩という表現自体が存在しません。
そのため、後輩という表現も存在しません。意外かもしれませんが、それらしき英単語が特にないのです。
アメリカでは学校や職場の先輩をどう呼んでいるのでしょうか。ビジネスシーンでの敬称などもどのように扱われているのか…。気になるところをこれから説明します。
先輩は文化の違いを表す言葉
ここではビジネスシーンを例にして、日本とアメリカの文化の違いから先輩という表現を見て行きます。
日本では先輩
入社して2年目になれば、新卒の人達を迎えることになります。
この後輩達は特に何も言わなくても、普通にあなたのことを先輩と呼び、部下になったら苗字+役職名で呼ぶことでしょう。
日本の場合は縦の人間関係、つまり役職・階級などの上下の序列を重視する文化であるため、先輩という言葉が生まれました。
会社で一緒の組織に所属する者同士ではあるけれども、相手の年齢や役職・階級にも重きを置き、敬意を表した呼び方になるのが日本です。
近年では、社員が社長のことを〇〇さんと呼ぶ会社がありますが、文化として根付いている先輩や役職名での呼び方が、まだまだ一般的です。
アメリカではファーストネーム
まずは英語の人名について確認しておきましょう。
英語の人名は順に、ファーストネーム・ミドルネーム・ラストネーム(ファミリーネーム)と並んでいます。
田中太郎さんを例にすると、ファーストネーム=太郎(名前)、ラストネーム=田中(苗字)となります。
ミドルネームはよく洗礼名や家族にとって大切な名前が付けられますが、普段は省略されることが多いです。
アメリカなどの英語圏では、先輩や上司を呼ぶとき、このファーストネームで呼び合うことがほとんどです。欧米では日本ほど縦社会の慣習がなく、階級・序列に重きを置かないからです。
もちろん上司や部下といった階級は存在しますが、お互いを呼ぶときには縦の関係というよりも、たいていは同僚という横の関係で考えます。
だから、先輩に該当する単語は厳密には存在しないのです。
敢えて先輩を表現しようとすると
田中さんは同僚です。彼は私より早く会社に入社しました。
=田中さんは会社の先輩です。
Tanaka san is a co-worker. He joined the company earlier than I did.
この例文のように、細かく状況説明をすることになってしまいます。
上司に対しては、boss
などの表現をする場合は少なくありませんが、先輩は表現自体が難しいといえます。
もし日本人のあなたがアメリカに行ったら、このファーストネームで呼び合う習慣にかなり違和感を覚えるかも知れません。
ですが、アメリカではそれが習慣化しており一般的なので、それに慣れるようにしましょう。
ただし、だからと言って英語に敬語や敬称がないという訳ではありません。
時と場所・相手によっては、とても不躾で失礼にあたることがありますので、注意してください。
日本でも同じですが、初対面なのにいきなりファーストネームで呼ぶなんてことはしないでくださいね。
英語で先輩に近い表現は?
Web上の質問コーナーでは、よく先輩の英語表現について投稿されています。
結構な回答数があり、その内容はさまざまです。
やはり、先輩と言う概念自体が存在しないため、微妙なニュアンスでの表現になってしまうからでしょう。
その中でも比較的多く登場する表現を、参考としてご紹介します。
senior(シニア)
あまり一般的ではありませんが、上下関係を伝えたい場合に使います。年長者という意味なので、先輩に比較的近い表現といえるかも知れません。
トムは私より年上です。
=トムは私の先輩です。
Tom is my senior.
mentor(メンター)
日本でも制度としてこの言葉を人事教育システムに組み込む会社があるので、聞いたことがあるのではないでしょうか。
相談相手やお世話になっている、師匠のような人という意味合いから、先輩という表現になります。
彼は私のメンター(色々教えてくれる人)です。
=彼は私の先輩です。
He is my mentor.
どうでしょう?敢えて言うなら…と考えた結果ですが、どれもあまりシックリこない表現になっていますよね。
年齢・階級にあまりとらわれない英語圏では、先輩でも
同僚=colleague
coworker
と表現し、お互いをファーストネームで呼び合うのが一番なようです。
親しみが沸いて仲良くなれるかも?
先ほども少し触れましたが、英語に敬語や敬称がないという訳ではありません。
相手を敬称+ラストネームで呼ぶこともあります。
たとえば大学の教授などの場合は、
ドクター〇〇
Dr.〇〇
と呼ばれます。
日本では医者のイメージが強いDr.ですが、アメリカでは博士を指します。
このように博士や教授に限っては、Dr.〇〇と呼ぶ場合も少なくありません。
また、だいぶ年上の女性などに対してはMrs.〇〇
と呼びたくなりがちですが、
〇〇と呼んでね。
No, Call me 〇〇.
とフランクな返答が返ってくることも少なくありません。
かしこまらなくてもいいというニュアンスになります。
初対面の時はまずDr.〇〇と呼び、相手がファーストネームで呼ぶことを促してくれるのを期待した方がよいかもしれません。
アメリカでは年齢差に尊敬の念をあらわすよりも、ファーストネームで呼んだ方が逆に親しみやすくて喜んでくれるケースが多いです。
でも日本だと、同級生ならともかく、先輩や上司を呼び捨てで、しかも下の名前で呼ぶなどということはまったくと言っていいほどありませんよね。
このように、日本とアメリカでは呼び方に大きな違いがあることを知っておいてください。
ネットスラングとして使われるsenpai
今や日本のマンガ・アニメは、世界中で人気です。
そのせいでしょうか、アメリカのサブカルチャーでも、
manga
otaku
kawaii
などと同様、senpaiという日本語もそのまま使われることがあります。
もともと日本に興味があったり日本語を学んだりしている人達は、本来の意味で英訳せずにセンパイと使うことができるでしょう。
高校時代に同級生となったアメリカ人の生徒は、実際にセンパイ・コウハイと言っていたくらいです。
でも、最近ネットスラングで使われ出したsenpaiは、少し違った意味合いで使われているらしいのです。
Web上に投稿されたアニメの絵と、
先輩、わたしの事に気づいて
I hope Senpai Will Notice Me
という片思いの少女のキャッチフレーズがきっかけで、senpai=大好きなのに私の気持ちに気付いてくれない人として認識されるようになったようです。
多少意味合いは違っても、senpaiが日本語のまま海外で定着して、そのうち辞書に載るかも?なんて思うと、何だか面白くて最新の英会話の情報にも興味がわいてきますね。
まとめ
英語では、先輩と呼ぼうとするより、普通にファーストネームで呼んであげた方が、相手に喜ばれるケースの方が多いようです。
そしてその理由となる文化の違いを知ることは、より良いコミュニケーションを取るためにとても大切なこと。
よく登場する英語表現だけに、ぜひ文化の違いも知って、使ってみてくださいね。
動画でおさらい
「先輩!」って英語で何て言う?呼び捨ての方が喜ばれるアメリカを、もう一度、動画でおさらいしてみましょう。