バカンスとはフランス語!意味とヨーロッパのバカンス事情、バカンスの英語訳や例文
長い休みにはリゾート地でバカンスを楽しみたいものですが、バカンスという言葉が英語ではないのをご存じでしょうか?
実はバカンスはフランス語由来の言葉なのです。
それではバカンスは英語で何というのでしょうか。
今回の記事では、バカンスの意味と英語訳、例文、あわせてヨーロッパのバカンス事情についてご紹介します。
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バカンスとは
カタカナ表記の単語を見るとつい英語と思いがちですが、フランス語やドイツ語由来の言葉も少なくありません。まずはフランス語由来のバカンスの意味について見てみましょう。
バカンスはフランス語!意味は?
日本語でバカンスといえば、長期にわたる休暇やその休みを利用して行楽地や保養地で過ごすこと、リゾートを楽しむことを意味しますが、先に述べたようにバカンスはフランス語から来た言葉です。
フランス語のvacanceの意味を仏和辞典で見てみると、vacancesと複数形にして、(主に長期的な)休暇とあります。これは日本で使われているバカンスの意味と同じですね。
ほか、休養や休息、さらに、空席や欠員という意味も掲載されています。
フランス語のvacanceは行楽地や保養地でというような、どこで過ごすかという意味までは含まないところが、日本でのバカンスについての認識と異なる部分です。
参考:コトバンク
ヨーロッパのバカンス事情
日本は世界的に見ると実は祝日の多い国なのですが、年次有給休暇(年休)の取得率が低いという実態があります。2019年の調査では取得率50%という結果が出ています。さらに、短い休暇を複数回取る人が多いそうです。
参考:世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2019も発表 日本人は世界で一番「短い休暇」が好き おススメの旅行スタイルは「ステイケーション」|エクスペディア
一方、ヨーロッパ各国は日本ほど祝日が多くないものの有給休暇の取得率が70%以上と高く、長期休暇を取ることがごく自然なことになっています。
国によっては休暇取得を法律で定めているところもあります。
たとえばフランスにはバカンス法という法律があり、すべての労働者に年間5週間の有給休暇期間が付与され、取得しなければならないことになっています。
法律違反した際の企業への罰則も設けられているといいますから、単なる奨励ではなく、休暇を取ることが権利義務として認められているわけです。
フランスだけでなく、ドイツでもドイツ連邦休暇法によって、年間最低24労働日の有給休暇を取るよう定められています。事情はイギリスも同じで、休暇に関する法律で年間最長28日の有給休暇を取ることができます。
ヨーロッパのバカンスは学生時代の夏休み並みに長いイメージがありますが、実際に1ヵ月前後の連続休暇が当たり前なのです。なんともうらやましい話ですね。
ちなみにイタリア語でバカンスはVacanza(ヴァカンツァ)で、語源はからっぽを意味するラテン語だそうです。仕事も何もかも全部忘れて何もしないことこそバカンスというわけですね。
バカンスを英語で言うと?
フランス語由来のバカンスは、英語に訳すと休暇を意味するvacationになります。
カタカナ読みはバケーションで、バカンス同様、日本語でもお馴染みの言葉ですね。
holidayあるいはholidaysということもあり、一般的にアメリカ英語ではvacation、イギリス英語ではholidayを使うことが多いようです。カタカナ読みのホリデーも日本でよく使われますよね。
vacation
holiday
もっとも両者は全く同じ意味ではなく、祝日という場合はholidayで、vacationは使えません。holidayはholy day、つまり聖なる日という意味ですから、祝日がholidayというのはわかりやすいかもしれませんね。
アメリカの休日事情
2022年の祝日を確認すると、アメリカの祝日は11日で、日本は16日です。日本の方が祝日が多いのは2022年に限らず前からのことで、アメリカのカレンダー上での休日は実はそれほど多くないのです。
また有給休暇に関する法律もなく、この点も日本とは事情が異なります。
アメリカでは有給休暇は企業の福利厚生の一環といった認識があり、年間で約2〜3週間の有給休暇が設けられていることが多いですが、公的な法律義務は存在せず、なかには有給休暇がない企業もあります。
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vacationやholidayを使った例文
では、vacationやholidayを使った例文をご紹介しましょう。
休暇に関する話題はネイティブとの日常英会話でもよく出てくるので、ぜひ参考にしてくださいね。
どのくらい休暇を取りますか?
夏休みはどれくらい取る予定?
How long is your summer vacation going to be?
バカンス期間を尋ねる例文です。How longが使われていますね。
有給休暇を取る
来年こそ有給休暇を取って南フランスに行く!
I will definitely take a paid vacation next year and go to the south of France!
有給休暇はpaid vacationです。paidはpayの過去分詞で、payは支払うという意味です。カタカナ表記のペイは日本でも電子決済サービスの名称として最近よく使われるようになりましたね。
この場合のpaidは形容詞として使われており、賃金が支払われるという意味になります。つまりpaid vacationは賃金が支払われる休暇で、有給休暇となるわけです。
definitelyは絶対という意味で、I will definitely〜next yearで来年こそ〜すると訳せます。便利なフレーズなので、このまま覚えてしまいましょう。
休暇を~して過ごす
妹は休暇をスノーボードをして過ごした。
My younger sister spent her vacation snowboarding.
休暇を過ごすという場合、動詞spendを使います。例文のspentはspendの過去形です。
休暇を取っている
ルイは今週休暇を取ってカナダに滞在しています。
Rui is on holiday this week and staying in Canada.
こちらはholidayを使った例文です。先に述べたようにイギリスではvacationの代わりにholidayを使うことが多いです。
休暇はどこ行く?
あなたの娘さんは休暇どこへ行くの?
Where is your daughter going for her holidays?
休暇中の行き先について尋ねている例文で、holidaysが使われています。
ちなみに(the) holidaysと複数形の場合、クリスマスから新年までの長期休暇、いわゆるクリスマス休暇を表すことがあります。クリスマスカードなどのあいさつ文にもHappy Holidays!と書かれているのを見たことがある方もいるかもしれませんね。
英語と間違えがちな日本でおなじみの言葉
バカンスのようにカタカナ表記の単語には英語由来ではない言葉がたくさんあります。
最後に、英語と間違えがちな日本でおなじみの言葉をご紹介します。
アンケート
アンケートはフランス語のenquêteで、意味は質問調査です。英語ではquestionnaireです。ちょっと聞き慣れない単語ですが、カタカナ表記するとクウェスチャネアとなります。
questionnaire
カルテ
医療用語のカルテはドイツ語のKarteから来ています。意味はカードです。医療関連に限らず、ドイツ語ではカードはみなKarteとなるわけです。
英語ではmedical chart、recordなどといいます。
medical chart
record
アルバイト
アルバイトはドイツ語arbeitから来ており、意味は仕事です。もっとも日本語のような非正規労働や短時間労働的なニュアンスはarbeitにはありません。そのためアルバイトとarbeitは英訳すると別の単語になります。
ドイツ語のarbeitの場合、英語でworkですが、日本語のアルバイトの場合、part-time jobになります。つまり英訳すると日本でいうアルバイトとパートは同じ表現になってしまうわけですね。
part-time job
ちなみに、フランス語で仕事はtravail(トラバーユ)です。日本では、とらばーゆという女性向け転職情報サイトでおなじみですね。
(手術で使う)メス
医療器具のメスはオランダ語由来の言葉で、意味はナイフです。そのため、オランダ語のmesと日本語のメスでは英語表現は異なり、オランダ語のmesならknifeですが、日本語のメスならscalpelとなります。
scalpel
パン
パンはスペイン語のpanやポルトガル語のpaoが語源といわれており、いずれも意味はパンです。英語ではbreadですね。panという単語は英語にもありますが、意味は平鍋でパンではありません。フライパンのパンと考えるとわかりやすいでしょう。
bread
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まとめ
日本にも労働基準法をもとにした年次有給休暇制度がありますが、仕事重視の国民性からか、欧米のようなバカンス休暇はまだ十分に浸透しているとはいえません。フランス社会なみのフランス人流バカンスが日本社会にも定着してくれると、社会人でもバカンス気分を味わえるかもしれません。もっとも長期休暇明けには会社に行きたくなくなってしまいそうですね。今の日本でバカンスを取ることが義務になっても、結局、自分の仕事をほかの人に振り分けるのが申し訳なくて、バカンス明けを待たずにパソコンを開いてしまう人が続出するでしょう。
休暇の長さが際立つのはフランスやドイツで、アメリカでは企業に委ねられています。ヨーロッパは季節ごとの日照時間が大きく異なります。日照時間が長い夏に対する思いが日本人と違うのは当然かもしれません。
各国の有給休暇事情を気候と絡めて考えてみるのも、面白いかもしれませんね。
バカンスにまつわる表現には文化的な背景が透けて見えることは少なくありません。
単語を丸暗記するだけでなく、その背景も考えながら覚えれば、きっと適切な言葉選びができるようになるでしょう。
言葉と文化は切り離せないものです。語学を学びながら、諸外国の価値観や伝統についても関心を持ってみてくださいね。