自動詞と他動詞の違いとは?これでわかる!見分け方と覚えておきたい一覧表

自動詞と他動詞は中学科目や高校科目の英語学習で習いますが、いざ英作文に挑戦すると目的語はどこに入れる?前置詞は必要だっけ?と迷ってしまいがちです。
今回は自動詞と他動詞をテーマに、両者の見分け方や覚えておきたい一覧表など英作文や和訳に役立つ情報をご紹介します。
基本をおさえて動詞の達人になりましょう!
目次
英語の自動詞・他動詞の違いをわかりやすく説明
動詞の種類といえばbe動詞と一般動詞に分けて説明されることがありますが、それと同様に自動詞・他動詞も動詞の種類と考える人が多いかもしれませんね。
しかし、すべての動詞が自動詞か他動詞に分類されるわけではないので、動詞の使い方として自動詞や他動詞があると考えた方がわかりやすいです。
まずはその点をしっかり頭に入れておきましょう。
それでは、自動詞・他動詞とは、どのような使い方を指すのでしょうか?
英語の自動詞・他動詞の違いをわかりやすく説明します。
自動詞とは
自動詞とは目的語を必要としない動詞のことです。
おそらく学校でもそう習った方が多いことでしょう。これがまず基本です。
主語+述語で完結する文章で、述語の役割を務めるのが自動詞。
下の例文を見てみましょう。
彼は歩いた。
He walked.
例文は主語(He)+述語(walkの過去形)で完結していますよね。主語と述語で完結する文は、主語の動作に関する内容であることが多いです。walk(歩く)という単語も動作を表す単語で、動作の対象は誰かといえば、主語であるHeですよね。
他動詞とは
自動詞の定義が目的語を必要としない動詞だとすれば、他動詞は目的語を必要とする動詞ということになります。これが他動詞の基本です。
自動詞の例文としてHe walked.をご紹介しましたが、実はwalkは他動詞としても使えます。下の例文を見てみましょう。
彼は犬を散歩させた。
He walked the dog.
同じwalkですが、自動詞と他動詞とでは意味が違います。
他動詞の場合は~を散歩させるという意味になり、動詞自体に助詞「を」までが含まれます。日本語でいえば、犬(目的語)+を(助詞)+散歩させる(動詞)という構成ですが、このうち助詞(を)と動詞(散歩させる)の2つの役割を動詞walkが1語で担っているということです。
これに対して自動詞として使われている場合は、動詞walkに助詞の働きは含まれません。そのため、自動詞に助詞が必要な場合は、前置詞とともに使うことになります。
また受動態として使われるのは、他動詞だけです。
これは受け身になる場合、主格と目的格の2つの対象が必要であることからもわかるでしょう。目的語が主語になるのが受動態ですよね。他動詞でなければ目的語がないので、受け身にはならないということです。
他動詞の方が使われることが多い
使われる頻度でいえば、他動詞の方が圧倒的に多いです。
自動詞が主格との関係だけで完結してしまうことを思えば、目的格との関わりで様々な表現ができる他動詞の方が出番が多いのは当然かもしれませんね。
そのため、英文を理解しようというときは、まず他動詞として使われている可能性を考えましょう。
自動詞と他動詞とでは意味が異なる場合もあるため、最初から意味を決めつけず、目的語に当たる部分はないか探してみてください。
先ほどの例文でいえば、He walked.なら自動詞で、彼は歩いたという意味になりますが、He walkedの後にthe dogがあれば他動詞で、犬を散歩させたという意味になりますよね。
いきなり意味から文意を理解しようとすると、
①walkだから歩くという意味だ!
②あれ?じゃあthe dogは?
という流れになってしまいます。
そのため最初の段階では意味を決めつけないことが大切です。
流れとしては、
①動詞は他動詞として使われる機会が圧倒的に多い
②目的語に当たる部分はthe dogだ
③自動詞だと歩くだけど、他動詞だと~を散歩させるという意味だから、犬を散歩させるという意味だ!
となり、正解にたどり着きやすくなります。
自動詞と他動詞の見分け方
英文に登場する動詞の使われ方が自動詞なのか他動詞なのかは、どのように判断すればよいのでしょうか。He walked.やHe walked the dog.のように構成がわかりやすい文章であれば、目的語のあるなしはすぐにわかります。ですが、副詞や形容詞などたくさんの単語が含まれると判断の難易度は上がってしまいます。
ここでは自動詞と他動詞の見分け方について見てみましょう。
動詞に「を」「に」が含まれているか
動詞が他動詞として使われる場合、をやになどの助詞が動詞の意味に含まれると前述しました。これが、英文中でも自動詞か他動詞かを見分けるポイントのひとつとなります。
助詞を含む動詞は必ず目的語を必要としますから、動詞の後に前置詞なしで目的語があるかをチェックすればいいわけですね。
目的語があって、動詞が助詞の意味も含んでいれば他動詞です。
動詞の後に前置詞があるか
動詞の後に前置詞があるかどうかも自動詞か他動詞かを見分ける方法のひとつです。
以下の例文を見てみましょう。
彼は公園へ歩いていった。
He walked to the park.
walkの後にtoという前置詞がありますね。この文章では公園へという助詞の働きを前置詞toが務めています。つまり動詞walkに助詞は含まれていないということです。
よって動詞walkは自動詞として使われていると判断できます。
他動詞の後に副詞を挟むパターンも
他動詞の後に副詞を挟むパターンもあるので注意しましょう。
副詞(副詞句)は割と自由にどこにでも置けるため、動詞+副詞+目的語といった語順になることもあります。この時、動詞の後ろに目的語がないから自動詞だと考えてしまうと、意味を正しく理解することはできなくなってしまいます。
副詞が目的語の前に来るかもしれないことを念頭に置いて目的語探しをしてくださいね。
自動詞でも他動詞でも使われる動詞もある
すでに説明した通り、動詞ごとに自動詞か他動詞かが決まっているわけではありません。
自動詞でも他動詞でも使える動詞は多い上に意味が変わることもあるため、自動詞か他動詞かを見分けて、文脈に合った正しい意味を見つけることが大切です。
TOEICにもよく出る!disscussはどっち?
ここまで自動詞と他動詞の見分け方について説明してきましたが、中には判断に迷う動詞もあります。勘違いしやすい単語としてよく取り上げられるのがdisscussです。
あなたは自動詞と他動詞、どっちだと思いますか?
discussとは~について議論するという意味の動詞。
~についてと訳されることが多いため、discuss aboutで自動詞と考える人が多いのですが、実はdiscussは他動詞で、aboutは必要ないのです。
似た意味を持つ動詞debateやargueはaboutを伴った自動詞として使われることもあるため混同しやすいですが、間違わないように注意しましょう。
連結動詞のパターンもある
動詞の後に名詞が来たら他動詞、と思いたいところですが、実は連結動詞だったというパターンもあるので注意しましょう。
連結動詞も動詞の使い方のことをいい、よく知られている単語のひとつにbecomeがあります。~になるという意味で覚えている方も多いのではないでしょうか。becomeの後には必ず名詞などの単語が来るため他動詞、と言いたいところですが、実は違います。
becomeの後に来る名詞は目的語ではなく、補語なのです。
つまり連結動詞は、主語+動詞+補語の第2文型で用いられる動詞のこと。主語と補語をイコールで繋ぐ、つまり連結する動詞ということですね。
連結動詞は自動詞に分類されますが、他の自動詞とは異なり補語が必要なため、不完全自動詞と呼ばれることもあります。
becomeは他動詞としても使えますが、その場合、~は…に似合うという意味になるため注意してくださいね。
連結動詞はbecomeの他にもいろいろありますが、もっともよく使われるのはbe動詞でしょう。be動詞も連結動詞なので自動詞ですが、現在進行形や受動態などの場合は助動詞として働きます。
連結動詞の見分け方に迷ったら、動詞をイコールの記号に変えてみてください。両者の関係がイコールで結べるなら連結動詞です。
He is my friend.を例に取れば、He=my friendで結べますよね。
He became a teacher.はHe=a teacherで結べます。
ではHe walked the dog.は?
He=the dogではないですよね。なので連結動詞ではないとわかります。
連結動詞として使える動詞には他にもseem、sound、look、feel、keep、get、fall、turnなどがあります。
自動詞他動詞?英作文に役立つ覚え方はセット暗記
自動詞と他動詞の区別がつきにくい場合は、簡単な例文をまとめてセット暗記してしまうのがおすすめ。
目的語が必要なら目的語セットにし、前置詞が必要なら前置詞セットとして一緒に暗記してしまうわけですね。
例えばmarry(結婚する)はmarry me!(結婚して)で覚えてしまうと、marryの他動詞としての用法を覚えられます。しかしmarryには自動詞としての用法もあり、She married very young.(彼女はかなり若いうちに結婚した)といった使い方もできるのです。なので、どちらも覚えてしまいましょう。
英作文の際にmarryはどっちだっけ?と思ったら、marry me!とShe married very young.の2文を思い出し、応用すればOKです。
恋人へ愛を伝える英語フレーズの記事はこちらです。
覚えておきたい類語の自動詞・他動詞一覧表
類語を自動詞と他動詞とでまとめて覚えておくのも便利です。
自動詞は前置詞などとセットにした句動詞をまるごと、他動詞の単語と関連付けて覚えてしまうわけですね。
よく出る表現をいくつかピックアップして表にまとめてみました。
是非参考にしてくださいね。
自動詞(句動詞) |
listen to |
意味 |
~を聞く |
他動詞 |
hear |
自動詞(句動詞) |
speak to |
意味 |
~に話しかける |
他動詞 |
address |
自動詞(句動詞) |
argue about |
意味 |
~を議論する |
他動詞 |
discuss |
自動詞(句動詞) |
arrive at |
意味 |
~に到着する |
他動詞 |
reach |
自動詞(句動詞) |
refer to |
意味 |
~に言及する |
他動詞 |
mention |
自動詞(句動詞) |
appear on appear in |
意味 |
~に出席する |
他動詞 |
attend |
自動詞(句動詞) |
be similar to |
意味 |
~に似ている |
他動詞 |
resemble |
自動詞(句動詞) |
come into |
意味 |
~に入る |
他動詞 |
enter |
that節で他動詞になる動詞一覧
動詞のなかには、基本的に自動詞として前置詞と共に使われるところを、目的語にthat節を置くことで他動詞として使われるものもあります。
以下がそのケースです。
自動詞 |
agree with |
意味 |
~に賛成する |
他動詞 |
agree that |
自動詞 |
boast of boast about |
意味 |
~を自慢する |
他動詞 |
boast that |
自動詞 |
complain of complain about |
意味 |
~について不平を言う |
他動詞 |
complain that |
自動詞 |
hope for |
意味 |
~を望む |
他動詞 |
hope that |
自動詞 |
think of think about |
意味 |
~について考える |
他動詞 |
think that |
自動詞にも他動詞にもなる動詞の例文
最後に自動詞にも他動詞にもなる動詞の例文を3つご紹介します。
まずは例文だけを見て、自動詞か他動詞か当ててみてくださいね。
change
①シェリーは高飛車な妻に変わった。
Shelley changed to a high-handed wife.
②シェリーは勤務先を変えた。
Shelley changed her workplace.
どっちがどっちかわかったでしょうか?
これは基本通りの構文なので比較的簡単かもしれません。
①はchanged+前置詞toです。
前置詞を伴うのは?
そう、自動詞ですね。
②はchanged+名詞で、動詞の後に名詞が来ています。
Shelley=her workplaceにはなりませんから、連結動詞ではありません。ということは名詞は目的語です。つまり動詞+目的語で、目的語が必要なのは?
そうです、他動詞ですね。
high-handedは高飛車なという意味です。
hit
①トムが対戦相手に殴りかかった。
Tom hit at his opponent.
②トムが対戦相手を殴った。
Tom hit his opponent.
こちらはどうでしょう?
構文自体はシンプルですが、日本語の意味に囚われると迷いやすいと思います。
hitは殴るです。
殴る対象を必要とする動作ですから、基本的に他動詞として使われる動詞です。
例文では動作の対象はhis opponent、つまり彼の対戦相手ですね。
①ではhit+前置詞atとなっています。
前置詞を伴う動詞は?…そう、自動詞ですね。
②の方はhit+名詞です。
Tom=his opponentではありませんから、連結動詞ではありません。
ということは目的語です。
目的語を伴う動詞は?…そう、他動詞ですね。
自動詞や他動詞で意味が変わる単語もありますが、hitはどちらも殴るです。
意味は変わっていませんね。
①が②と違うのはhitが自動詞となり、前置詞atが追加されている点。
実はこれ、atを用いることで異なるニュアンスが表現されているのです。
この場合の前置詞atは、動作の方向を表しています。
hitという動作がhis opponentの方へと向かったという動作自体がフォーカスされているのです。殴りかかったと和訳されているように、相手に向かう動作性を表現するために前置詞atがプラスされ、hitが自動詞となっているわけですね。
stop
①私の父は飲むために足を止めた。
My father stopped to drink.
②私の父はお酒を飲むのを止めた。
My father stopped drinking.
こちらはいろいろと迷いポイントがある例文ですね。
まず意味が違います。
しかし先述したように、最初の段階で意味を決めつけると迷路に入り込んでしまいます。
自動詞か他動詞かの判断は文の構成で見極めましょう。
①はto不定詞を使った例文です。
②は動名詞が使われています。
さて、わかったでしょうか?
それでは答え合わせしましょう。
①は前置詞toがあるため、自動詞。
②は動詞の後に名詞としての役割を持つ動名詞があるため、他動詞。
動詞の後に来るto不定詞と動名詞は混同しやすいですね。
正しく使い分けるために、それぞれが持つニュアンスをしっかり把握しておきましょう。
一般的にto不定詞は非現実を表し、動名詞は現実を表します。
①のto drinkの場合、これから飲むためにstopしたわけですから、drinkという動作はまだ行われていません。そのため非現実のニュアンスを持つto不定詞が使われているのです。
②のdrinkingは、お酒を飲むのを止めたという意味です。つまりdrinkという動作は既に行われていますよね。そのため現実を表す動名詞が使われているということになります。
ちなみに、不定詞におけるtoの後の原形動詞は名詞的性質を持っているので、前置詞to+原形動詞が成り立っているのです。
動名詞と不定詞についての記事はこちらです。
まとめ
覚えるとなると、とっても面倒な英文法ですが、知らない表現に出会った時にはとても役立ちます。
特に長い英文の場合は、動詞の後に単語がいくつも並びます。
目的格が1つなら補語か目的語かなと考えることもできますが、授与動詞(giveやlendなど授ける・与える、あげるといった意味を持つ動詞。第4文型で使われる)の後に単語が2つ以上並べば直接目的語や間接目的語の違いが出てきますし、副詞の可能性だってあります。
今回ご説明した動名詞とto不定詞でも、目的語drinkingや目的語watchingといった具合に動名詞の前に目的語を挟めば、目的語を修飾する形容詞の働きをしていることになります。
目的語to watchの場合も同様で、単語の並びによって名詞的用法なのか形容詞的用法なのか、あるいは副詞的用法なのかが変わり、意味も大きく違ってきます。
多くの英語学習者が最初に意味を考えようとしますが、英文の文法的な特徴を捉えることが英文理解の近道となることは少なくありません。
とてつもなく面倒くさく感じますが、文型を当てはめ、単語の用法を絞り込むことができれば、文字の羅列にしか見えない英文の意味もわかるようになりますから、ゲームを攻略するつもりでトライしてみてくださいね。
学生時代、中学英文法、高校英語文法に真面目に取り組んだけれども文法用語が難解で挫折したという方もいるかもしれません。
文法書を読んでも頭に入ってこない時は、英会話スクールなどで講師から要するに何かを教えてもらう方がいいかもしれません。すきま時間に英文法を学べるメールマガジン購読もおすすめです。
さまざまな教材に接するなかで、自分が難しいと感じたところを抜き出して1ページにまとめておけば、集中的に復習できるので効率よく学べます。
また、文法用語は翻訳語よりも英単語の方が意味がわかりやすい場合もあります。
例えばbe動詞やbecomeは連結動詞と説明しましたが、英語ではlinking verbといいます。verbは動詞で、linkingはlinkです。リンクはカタカナ表記でも使いますよね。連結する動詞といわれるより、リンクする動詞といった方がわかりやすいのではないでしょうか。
他動詞はtransitive verbです。verbは動詞、transitiveはtransit、つまりトランジットです。通行する、通過するという意味で、主語の動作が移行する動詞だから移行先として目的語が必要というわけですね。自動詞はもっと簡単でintransitive verbです。他動詞に否定の接頭辞in-が付いているだけですね。
暗記力に自信のある人でなければ、文法を丸暗記しても知識としてなかなか定着しないものです。
文法攻略の近道は要するに何かという、その本質を理解することです。
他動詞が移行する動詞と理解できれば、移行しない自動詞は移行先の目的語が必要ないことがわかりますよね。
言語学習は急がば回れで、丸暗記よりもそれぞれの意味をおさえてみてくださいね。