地獄を英語で?ヘルとインフェルノの違いからスラングや天国の言い方まで
英語で地獄といえばヘル(hell)が有名ですが、実は他にもたくさんの表現があります。たとえば、映画のタイトルとして有名なインフェルノ(inferno)も地獄という意味ですが、ヘルとの違いがわかりますか?
また、ヘル(hell)を日常会話で使うと少し下品なスラングになりがちですが、映画やドラマのセリフではしばしば出てくる言葉です。
というわけで今回のテーマは地獄です!地獄に関するあれこれを、一気に学んでいきましょう。
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英語で地獄を意味する名詞3選
英語において、地獄を意味する単語は多くあります。なぜ多くの単語があるかというと、地獄という言葉の多くが宗教や神話ごとにルーツを持つためです。
仏教やキリスト教のように天国と地獄の概念がはっきりしているものもあれば、宗教や宗派によっては地獄の概念が存在しなかったり、冥界のように死者の行くところとして天国と地獄が一緒になっていたりと実にさまざまです。
まずは、いくつかメジャーなものを紹介します。
①hell(ヘル)
hellはもっともメジャーなので、知っている人も多いと思います。この記事でも後ほど使い方なども詳しく紹介します。
あの世としての地獄という意味以外にも、この世での地獄のような苦しい状況という意味でも使われます。
②inferno(インフェルノ)
インフェルノは、ダンテの文学作品「神曲」の第一部のタイトルや、これを題材にした映画「インフェルノ」などでも使われているので聞いたことがある人もいるでしょう。
hellと同じく地獄、地獄のようなという意味で使われますが、hellとの違いは、infernoは単純に地獄というより、燃えさかる火炎地獄、そこから大火災なども連想する単語です。
③abyss(アビス)
abyssは深淵の地、地獄などを意味しています。エイビスと発音する場合もあります。
hellを使った英語表現
地獄を意味する単語はさまざまあるものの、実際の英会話の中で多く使われる単語はhellに絞られます。ここからは、hellを使った会話表現をいくつか紹介します。
hellを使ったスラング表現
hellの登場場面は、やはりスラング表現が目立ちます。hellをスラング表現として使う場合は強調として使われます。そのため、hell自体にはあまり意味はありません。
チクショウ!
Oh, hell!
いったい何なんだこれは!
What the hell is this?
the hellを文中に挿入して強調する表現は便利でよく使われます。上品とは言えないため、使うタイミングには注意してくださいね。
hellを名詞として使った表現
hellを名詞として使う場合は、地獄という意味になります。
それはこの世の地獄でした。
It was hell on earth.
くたばれ!/地獄に墜ちろ!
Go to hell!
hellを動詞として使う場合
hellは動詞として使われることもあります。
よく使われるのは、hell aroundという形でうだうだするや騒ぐという意味です。
chill outやhang outと同じようなニュアンスで使います。
hellを使った熟語会話表現
like hellやa hell ofは、とてもひどい様子、とても強烈な様子などを表す強調表現として使えます。
彼は必死で走った。
He ran like hell.
彼女はものすごいスピードで車を運転した。
She drove the car at a hell of a speed.
hellishという形容詞は、地獄のような、とてもひどいという意味で使います。
ひどい時間だった。
We had a hellish time.
昨日はひどい天気でした。
It was hellish weather yesterday.
このように、hellは英語で強調表現として使うこともよくありますが、日本語でも頻繁に「地獄」を強調の意味として使っています。
たとえば、「地獄のように暑い」「通勤地獄」などの表現はもちろん、「生き地獄」「地獄を味わう」「地獄を見る」といった慣用句もあります。
地獄という単語は、使う場面次第で効果的な強調表現にできるのは英語も日本語も同じですね。
地獄の黙示録など映画などの作品で登場する地獄
映画好きの人なら、地獄といえば地獄の黙示録(じごくのもくしろく)や、ターミネーターでの名セリフ「地獄で会おうぜベイビー!」を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか?
地獄の黙示録といえば、ベトナム戦争をテーマに戦争に潜む人間の狂気を描き、戦いや暴力のむなしさを浮き彫りにしたとされ、公開から40年以上経った現代でも評価の高い作品です。
地獄の黙示録の原題はApocalypse Nowです。Apocalypseは黙示録の意味なので、「地獄」という意味の単語は使われていません。
また、地獄で会おうぜベイビー!は、映画「ターミネーター2」の中でアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800のキャッチフレーズとなったセリフを、戸田奈津子さんがこのように翻訳したために日本で広まりました。
原作中では「Hasta la vista, baby.」と発音されており、これはスペイン語で「じゃあまたな」程度の意味です。こちらも原文に「地獄」という意味の単語は出てきていません。
なお、地獄先生ぬ~べ~や、地獄少女といった日本のマンガタイトルの場合は、それぞれhell teacherやhell girlと訳されている例もあります。
その他の地獄の英単語
そのほか、地獄や地獄に近い概念(類語)として使われる英単語をピックアップしてみました。耳慣れない単語も出てきますが、宗教や神話によって解釈が変わり、厳密には地獄とは異なる場所を指しているものもあります。
the nether world(ネザーワールド)
某有名ゲームに登場しますが、ネザー単独では単にnether(下の、地下の)であり、形容詞の扱いです。地獄の意味にしたい場合はtheをつけてthe nether worldとします。ただし、地獄の名称としてはそれほどメジャーではありません。
Gehenna(ゲヘナ)
永遠の苦しみ
pandemonium(パンデモニウム)
悪魔の巣窟
blaze(ブレイズ)
灼熱地獄
pit(ピット)
地面に空いた大穴
devildom
魔界・悪魔の棲み家
Tartarus
黄泉の国・タルタロス
the underworld
死者の住む地下世界
Hades
冥界(ハデス)
冥界はギリシャ神話にしばしば登場する概念で、死者が暮らす世界です。
地獄と混同されている場面もよくあります。
purgatory
煉獄
煉獄(レンゴク)というと、アニメ「鬼滅の刃」の人気キャラクターを連想してしまいますが、本来はキリスト教の一部の宗派に見られる概念で、天国へ向かう前に死者の罪が清められる場所を意味しています。厳密にはむしろ天国に近く、地獄とは異なる意味の場所です。
地獄の反意語「天国」の英語
地獄の反意語といえば天国ですね。天国を意味する単語もたくさんありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
heaven
天国
Paradise
天国(パラダイス)
blessed land
天国(祝福の地)
Divine Kingdom
天国(神々の王国)
まとめ
地獄に関する英語表現はいかがでしたか?
地獄という言葉そのものにネガティブなイメージがあり、実際にhellを使った英語表現にはスラングが多くあまり上品な言葉とはいえません。
使う相手や場面に配慮する必要があり、できれば積極的には使わないほうがいいでしょう。とはいえ、映画のセリフや気軽な仲間内ではよく耳にする表現なので、知識として覚えておいてくださいね。